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murakami

情の画家

村上肥出夫展

 

2023年7月28日〔金〕- 2023年10月29日〔日〕

開館日:金、土、日および祝日

開館時間:10:00-17:00

リーフレット表(PDF) リーフレット裏(PDF)

 とても厚く塗られた絵具、大胆な筆の跡、複雑で繊細な色彩。村上肥出夫(1933―2018)は、眼の前にある風景や静物を対象(モチーフ)にしながら、それらを突き抜けた力強いイメージを画面に定着させています。 
    20歳の年に画家を志して上京、日雇いの仕事などをしながら絵を描き続けた村上は、銀座・並木通りの路上で絵を販売していたところを彫刻家の本郷新に認められ、兜屋画廊を紹介されます。画廊の計らいでアトリエなどを提供され画家として制作に没頭、1961年から63年の2年間で約300点が制作されました。その後パリやニューヨーク、イタリアなどを旅行。日本においても住居を転々としながら絵を描き続け一躍注目を浴びた当時は「放浪の天才画家」「画壇のシンデレラボーイ」などと言われました。
 文豪・川端康成も村上の良き理解者でした。「ともかく心力と勇気を私に伝へる」「豊烈哀号の心情を切々と訴へて人の胸に通う」と作品を評し、この「異彩の画家」の油彩画数点を購入、部屋に飾って鑑賞していました。
 ところが、画壇の寵児であった村上は、1979年突如として出身地である岐阜に戻ってしまいます。没後5周年を迎える本年、当ミュージアムで
初めてご紹介する熱情に満ちた絵画の数々を通して、その魅力を探ります。

■入館料:大人500円(400円) 高校・大学生300円(200円) 中学生100円 小学生以下無料 

※( )内は20名以上の団体料金。※65歳以上の方は100円引、障害者手帳等をお持ちの方は200円引となります。

■会期中のイベント(入館チケットが必要です)
◎学藝員によるミュージアム・トーク
7月30日 (日)、9月23日 (土・祝)
いずれも午後2時から約30分

 

◎学藝員による絵画のお話スライド・トーク
展示室にて絵画のよもやま話に花を咲かせます。
8月27日 (日) ③ゴッホ礼賛 佐伯祐三と村上肥出夫
10月14日 (土) ④風景画の魅力
いずれも午後2時から約40分、事前申し込み不要。

 

◎座談会
2F展示室にて、村上肥出夫の才能を認め世に送り出した関係者をゲストに招き、当館館長との対談を行います。
ゲスト・兜屋画廊  小澤禮子氏
10月22日(日)午後2時から約60分

​□同時開催

幻想世界への招待

 

 村上肥出夫の油絵は、その迫力あるマチエールから絵を描く強い衝動のようなものを感じ取ることができます。一方、エネルギー溢れるこれらの風景や人物画から、時としておどろおどろしさや不気味さを感じることはないでしょうか。
 その要因は定かではありませんが、村上自身が当時の社会状況のなかで感じていた不安や、歴史的建造物や深い森の中から発する「目には見えない何か」を察知して視覚化を試みたのかもしれません。
 村上以外にも同時代の画家たちは、死への恐怖や戦後の社会状況に対する不安、あるいは自己に対する違和感などを抱きながら、しかしそれらを創造の源泉として生かしてきました。 小山田二郎(おやまだじろう)や難波田史男(なんばたふみお)は奇妙な生き物や意味の分からない動作や物質の組み合わせによって深層心理に迫り、糸園和三郎は見えない顔の表情によって虚無感や張りつめた空気を、大正期の新興美術運動に参加していた神原泰は戦後に創作活動を再開し、抽象的な形態によって幻想的な世界を生み出しました。今回の特別展示では、サイトウミュージアムのコレクションから村上肥出夫と活動時期が重なる画家たちをとり上げ、私たちの想像力をかき立てる幻想世界の魅力をご紹介します。

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