サイトウミュージアムのデータベース構築と作品メンテナンスの作業マニュアルについて 2

2.データベースの構築

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 データベース用ソフトは、他のシステムへのデータ転用を考慮し、CSV変換機能があればエクセルでも他のソフトでもよいのですが、展示作品のキャプションや収納箱シールの印刷が簡易にカスタマイズできる点、複雑な操作が必要ないという点でファイルメーカーを使っています。

2-1. フィールド(別名:項目、列)

フィールドの設定は各美術館・博物館のコレクションの特性によって異なります。それにプラスして、文化遺産オンラインやジャパンサーチ、Google Arts & Cultureなど、将来どの検索システムに参加・接続するかを考えながらフィールド項目や構築します。後でフィールドを追加するのはデータの追加入力が大変なので慎重にすすめなくてはいけませんが、フィールド数が増えると作業量が増えますので費用対効果も考えないといけません。当ミュージアムのデータベースは、筆者が三重県立美術館にて2002年版所蔵品目録作成作業の際に構築し直したデータベースを基本にカスタマイズしました。

  • 作品番号 コレクションの総数が1万点以下を想定し、7桁のうち上の4桁が作品番号、下3桁が版画集などの枝番に使用。例えば作品の番号が305番で、版画集の15枚目にあたる作品は、0305015となります。(半角直接入力)

  • 分類 「絵画Ⅰ」(日本画等)、「絵画Ⅱ」(油彩画等)、「彫刻」、「水彩素描」、「版画」、「工芸」、「資料」(ドロップダウンリストからの選択入力)

  • 分類順番 並び替え(ソート)の際に使用します。「01」(絵画Ⅰ)、「02」(絵画Ⅱ)、「03」(彫刻)、「04」(水彩素描)、「05」(版画)、「06」(工芸)、「07」(資料)(ドロップダウンリストからの選択入力)

  • 優先順位 「1 ☆Sランクコレクション」、「2 ◎コレクション」など。(ドロップダウンリストからの選択入力)

  • 作者名 例)安井曽太郎(日本語入力に自動切換え)

  • 作者名欧文表記 例:YASUI Sōtarō、 Marc SHAGALL(半角入力に自動切換え)、日本語の発音に近い表示とするため、長音はローマ字の上に「-」を追加。

  • 作者名欧文検索用 例:YASUI Sotaro、 Marc SHAGALL(半角入力に自動切換え)

  • 作者かな表記 例:やすいそうたろう、しゃがーる

  • 生没年 例:1891-1972 ※生年と没年を分けたほうが便利な場合もある。

  • 作品名 日本語入力に自動切換え

  • 作品名欧文 半角入力に自動切換え。日本の地名、人名など固有名詞は斜体。翻訳を外注するのが理想ですが、当面はGoogle翻訳結果をもとに、その言い回しについて米英サイト等での使用例があるかどうかを確認しています。外注する場合は作品画像を翻訳者に添付すれば精度が上がります。

  • 制作年 海外作品例:1936年、国内作品例:1936(昭和11)年 ※当ミュージアムでは制作年不詳作品の割合が高い。しかしながら、来館者や利用者にとってはどの時期に制作されたのかおおよその年代がわかっているほうが作品の時代背景などの理解をすすめていただけると思われますので、「作品の様式」「キャンヴァス等の劣化具合」「作家の生没年」等を勘案し、なるべく「~年頃」という表記を入れるように努めています。

  • 制作年欧文 例1:1936 、例2:c.1936 ※制作年欧文は制作年代によるソート(並び替え)を行う際にも利用。先頭に「c.」があるとソートした際に1936年と近接した場所に並ばないが「1936c」などと便宜上入力するとキャプションや英語表記作成の際の修正が大変。

  • 技法材料 海外作「油彩・キャンヴァス」「油彩・板」「水彩・紙」「紙本墨画淡彩」などよく使用するデータをドロップダウンリストから選択。

  • 技法材料欧文 「Oil on canvas」「Oil on board」「Chinese ink and tint color on paper」などよく使用するデータをドロップダウンリストから選択。

  • 形式 「額装」「額装なし」「マットのみ」「軸装」「画巻」「双幅」「襖絵」「6曲1隻」「6曲1双」などよく使用するデータをドロップダウンリストから選択。

  • 形式欧文 「A pair of hanging scrolls」「A pair of two-fold screens」「A pair of six-fold screens」「Four-fold screens」「Framed」「Hanging scroll」「No frame」「Scroll」「Six-fold screen」「Two-fold screen」「Two pairs of six-fold screens」をドロップダウンリストから選択。いずれにも該当しない場合は直接入力。

  • 面保護 「なし」「ガラス」「アクリル」「低反射アクリル」「低反射ガラス」をドロップダウンリストから選択。

  • 裏板 「なし」「ベニヤ」「ベニヤ+鳥の子紙」「袋張り(裏布」「ゲータフォーム」「アクリル」「ポリカ」「プラダン」「ー」(裏板有無に該当しない)をドロップダウンリストから選択。

  • 箱有無 「なし」「タトウ」「軸箱」「段ボール」「差し箱」「仮の輸送箱」「木箱」をドロップダウンリストから選択。

  • サイズ(Sight size) 例)95.0×215 ※単位はセンチ。100センチ以上の作品は小数点以下を測っても誤差が大きく意味がないと捉え、四捨五入しています。「㎝」の表示は出力の際に一括して加えるので、入力しません。マットに入った版画や水彩作品はマットの窓枠寸法を入力します。

  • サイズ(素材全体) 例)98.0×217 マットに入った版画や水彩作品はシート全体の寸法を入力します。掛軸作品はこの欄に表装も含めた縦の長さと軸先までの横寸法を入力します。掛軸のこの寸法は展示の際に参考になります。

  • 外寸縦 額縁などの付属品も含めた縦(天地)の長さ(センチ)を入力。梱包箱の作成や展示の際の図面への落とし込みに使用します。

  • 外寸横 額縁などの付属品も含めた横(左右)の長さ(センチ)を入力。梱包箱の作成や展示の際の図面への落とし込みに使用します。

  • 外寸奥行 額縁などの付属品も含めた奥行きの長さ(センチ)を入力。梱包箱の作成や展示の際の図面への落とし込みに使用します。

  • 署名・年記 画面に作者が記した署名と制作年代を入力します。例1:左下:S.Yasui、例2:右上:素明寫「蘇迷廬」(白文長方印) ※署名・年記が2行以上にわたる際には、行の変わり目を「/」(半角スラッシュ)で区切ります。例:右上:S.Yasui / 1928

  • 箱有無署名・年記欧文 例1:Signed lower right: S.Yasui、例2:Signed and dated upper left: S.Yasui / 1928、例3:Signed and sealed lower left: 素明寫「蘇迷廬」(白文長方印)

  • 入手先2 例1:ギャラリー〇〇、 例2:653回 MA (毎日オークションの場合) ※作品の受入時の情報入力は別の職員が行っているため、データを統合する際にエラーが起きないようフィールド名を「入手先2」としています。

  • 来歴 例:~コレクション, 東京; ~画廊; ※最も最近の所蔵者を右側に表記しています。

  • 初出展覧会 例:結城素明展(~美術館・東京 1997) no.14 ※展覧会名(展覧会場 開催年)作品番号 

  • 作品裏書き キャンヴァス裏面や木枠などに書かれた文字を記載します。例1:中央自筆縦書き:伊太利ナポリ湾と / ソレント岬 / 海老名文雄、例2:木枠左自筆縦書き:昭和十五年 和田三造畫、木枠右下に大阪美交社のラベル

  • 箱等の記載 例:蓋に書付:(表)菊花、(裏)皇紀二千六百年作 三造画「三造」(朱文長方印)

  • 傷み具合 観察して気づいた事柄をおおまかに記述。その際行った処置も記述。例:軽い波打ち、表面汚れ、左中央に擦れ。金具取り替え済。

  • 傷み具合ランク A~Eまでのランク付け。「A(処置を必要としないもの)」「B経過観察程度の傷み)」「C何らかの処置が必要だが展示可能)」「D展示するには少し時間のかかる処置が必要)」「E重度の損傷があり、このままでは展示不可)」をドロップダウンリストから選択。

  • 作品解説 150字~200字程度の解説。ホームページや展示作品解説で利用できる文章に仕上げることが基本ですが、5分~10分で書ける内容程度のもの。実物作品を前にして解説を書ける貴重な機会と捉えて、作品の技法も観察・推理しながら書いています。

  • 備考 「キャンヴァスや額縁の製造メーカー名、作品名や制作年記述の根拠(情報元やどのように推理したかの理由)、作家についての簡易情報などを他で記述できなかった内容をこの欄で記述。

  • ID このフィールドは現在入力していませんが、複数のデータを抽出し、出力したいときなどに、このID欄を使用しています。該当するデータのID欄に「05」など任意の数字を決めて入れておけば、抽出データを統合しやすくなります。

 

​とりあえず、上記が当ミュージアムでは調査時に入力する機会の多いフィールドです。

その他のフィールドとしては、「入手先郵便番号」「入手先住所」「入手先電話」「受け入れ種別(購入、寄贈、預かり、寄託のドロップダウンリスト)」「購入金額」「購入日」

「修復歴」「掲載文献」「展覧会歴」「入手時作品名」「領収書日付」「保管場所」「保管場所2」などがあります。

fig.4 データベース画面の一部

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